サイズリミット・バッグリミットのお願い

2014年 12月 2日 - カテゴリー: 釣りのヒント集

Knot Enough乗船のお客様へのお願いです

当船では、独自のサイズリミットとバッグリミットを設けて、皆様に遵守して頂いております。釣りの未来を考えての事ですのでご協力お願いします。

シーバス(フッコ・スズキ)
キャッチ&リリースのみとさせて頂きます。(2018年までは産卵期を除き60cm以下を1人1匹としていましたが、資源量悪化のため2019年よりオールリリースとさせて頂きます。詳しい理由についてはページ下部の補足文章をお読みください)

メバル
20cm以上を一人6匹まで

カサゴ
20cm以上を6匹まで

ブリ(イナダ・ワラサ含む)
1人3尾まで

サワラ
1人3尾まで リリースする魚は出来る限り写真を撮らず素早いリリースをお願いします。

マダイ
25cm以上(神奈川県海面の遊漁に関する申し合わせ事項では全長20cm以下は再放流) 1人3尾まで

 

その他魚種

無駄にしない量まで 

全魚種共通 未成魚はリリース推奨です。

これらのルールは当船独自の物です。法的拘束力はありませんが、継続的にこの釣り場で遊びたい船長からのお願いという形で皆様に守っていただいております。御承知の上でご乗船下さい。ご理解、ご協力有り難うございます。

参考までに2018年から、JGFA推奨のリミットは、シーバスは60cm以下を1匹、カサゴ類は20cm以上を10匹となっております。

スズキのキープ禁止にについての補足説明

東京湾のスズキの資源量はピークを越え、ここ10年で劇的に減少しています。日々釣りをしていると、東京湾各所のシーバスの群れの数、そして群れの規模共に少なく、小さくなっていて、このままでは楽しいシーバス釣りが成立しなくなる・・・と、危機感を覚えています。

2011年より当船では4匹のバッグリミットを皆様にお守り頂いておりましたが、2015年2月1日以後は、65cm未満を2匹と、2匹少ないリミットに、そして2017年11月以後はバッグリミットを1匹に、オールリリース期間が11月~2月末までだったところを、11月~4月末とさせて頂きました。サイズリミットについても、これまで長らくの間、50cm以上、70cm未満とさせて頂いておりましたが、資源量の減少に伴い、2018年5月以後のサイズリミットは60cm以下とさせて頂いておりました。しかし、資源量の減少には歯止めがかからず、2018年秋には私が見て来た中で初めて、横須賀~走水間の大規模な産卵魚群が見られませんでした。これは横須賀での漁獲圧が高まったのが原因では無く、東京湾のスズキ個体群が全体的に縮小しているため、より規模の大きな産卵魚群のある富津側に優先的に魚が回遊したためだと推測しています。この様な現状を受けまして、当船ではスズキはキャッチ&リリースのみとさせて頂く事を決意しました。

私は2017年よりJGFAのバッグリミット改定案作成にも関わらせて頂きました。JGFA推奨のバッグリミットも60cm以下1匹となっていますが、但し書きで東京湾はオールリリース推奨となっております。良い釣りをいつまでも続けられるためにの想いをこめて、リリース後の生存率の高いリリースを心掛けながら、皆様の協力を宜しくお願いします。

スズキの食の安全性について

東京湾は都会の海です。1970年代には死の海と言われた程に汚染されていたと耳にした方も多いと思います。今では綺麗になったと言われる東京湾ですが、大雨の度に処理しきれない下水が未処理のまま放出されたりする等、まだまだ課題は山積みです。そしてスズキの様な高次捕食者は、生物濃縮によって汚染物質をより多くため込んでしまいます。

どれ位の汚染なのか、興味のある方は以下のリンクに資料がありますので見てみて下さい。

東京都福祉保健局 食品衛生の窓にある食品汚染調査のデータがあります。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/osen/index.html

スズキが突出して汚染されている事がデータからも伺えます。そして、昭和48年以後スズキは食に適さないとして東京都では食品としての流通が禁止されています。この規制は昭和50年に60cm以下のスズキに関しては解除されていますが、その後も汚染の調査は続けられいて、最新の平成29年度の調査でもスズキの汚染は突出していて、平成31年4月現在でも60cm以上のスズキの流通には規制がかかっています。しかし、実際には守られていませんし、周知も十分とは言えません。そして、東京都では規制していても、神奈川や千葉では規制がありません。同じ海で捕れた同じ東京湾個体群の魚ですが、漁業者への配慮なのか、そもそもその様な調査をしていないのか、足並みが揃っていないのが現状です。

以下、スズキをオールリリースにする前のサイズ規制の時の補足文章です。参考のために取っておきます。

何故60cm以上はリリースなのか

シーバスは50cmで成熟すると言われております。幼魚が成熟するまではほんの3年程度なのですが、産卵に参加する様になると成長スピードは著しく落ち、70cmになるまでに8年、80cmになるには10年以上かかると言われております。皆が釣りたい80cm以上の所謂ランカーサイズを育てるには、その予備軍であり、60cmまでサバイブしてきた優秀な個体の数を維持するだけでなく、その遺伝子を残すべく産卵させる事が大事だと考えております。

本来ならば、これらのルールは釣り愛好団体や釣り船独自の物ではなく、水産庁なり環境省なりがしっかりと水産資源の現状を把握して、毎年その資源量に応じて細かく見直しをしながら、監視員を投入し、罰則を設けて実施するのが望ましいのです。アメリカを含め、環境先進各国では当然の如く行われており、日本でも遠く無い将来に実施されるべき事でしょうが、現状では水産資源はほぼ獲ったもん勝ちの獲り放題の野放し状態。現状では、水産資源の量に対して、釣り人口、そして漁獲量が多すぎるので、持続的に利用可能な漁獲高をしっかりと見定めた上でこの様なルールが必要となる訳です。

今のままですと、東京湾のシーバスの資源量はしばらくの間、減少し続けると思われるので、非力ながらも独自にサイズリミットとバッグリミットのルールを設けさせて頂いて2018年で7シーズン目になります。いち釣り船が資源量に与えるインパクト、そしてリミットを設定する事で与える影響等、たかが知れているのですが、将来的にライセンス制やバッグリミット、そしてサイズリミットが導入される、ほんのわずかな切っ掛けになれば・・・との想いで行っております。お客様には、是非前もってご了承の上ご乗船頂きたいと思います。

因みにですが、船の上であまりしつこくリミットについては言いません。当船独自のルールで、現状では船頭からのお願い・・・と言う形で皆様に守っていただいております。皆様が釣りたいと思う、超大型のシーバス、目標サイズのシーバスが釣りたければ・・・その予備軍を、できるだけ健康な状態でリリースしていかなければなりませんね。

当船独自のルールですが、ご理解ご協力宜しくお願いします。

追記です:

上記の文章をウェブサイトリニューアルに伴い書き直した2014年12月2日からわずか数週間、12月半ばに産卵で集まっているスズキの群れを約2週間に渡り、毎日の様に巻き網船団が来て漁獲してしまいました。全部で何トンの漁獲だったのか、詳しくは知りませんが相当量のスズキが一気に獲られた事は間違いありません。その後2か月近く経ちますが、当船も含めこの時期に大型のスズキを狙って釣っている船(殆どの船がキャッチ&リリースです)が軒並み例年に無い貧果に苦しんでいます。居るはずの場所に魚が殆ど居ない、来るはずの場所に魚が殆ど来ないという惨状です。毎日各所で魚群探知機で魚の量を見ているので、魚が減っているのは間違いありません。勿論、湾内全てのスズキが獲られた訳ではありませんが、特に産卵に重要な大型の親魚が一気に漁獲されてしまった今、今後回復までにどれだけの時間がかかるのか、そもそも今のままで回復するのか、想像もできません。

我々遊漁船が産卵前後の魚を狙う事の是非も問われそうですが、私の個人の意見としてはキャッチ&リリースで、ルアーで一匹づつ釣るのと、巻き網で群れ全体を一斉に捕獲するのでは話の次元が違います。産卵期のシーバスに関しては即時オールリリースのみ、シングルバーブレスフックを1ルアーに2本まで・・・等、我々アングラーには少々厳しいと思える様なルールを飲んででも、スズキの巻き網に対する厳しい規制が欲しいと願うばかりです。因みにですが、シーバスを狙う際に、プラグにシングルフックを使うとフックアップ率は多少落ちます。しかし、フックアップしない魚を悔しがりながら釣りするのもまた楽しいですが、魚が居なくなり、一向にバイトすら得られない・・・となれば楽しめません。

スズキが食用魚としても重要な役割を果たしているのは十分に理解しております。しかし、生息数を一気に減らしてしまう様な乱獲はすべきではありません。私の願いは持続的に食用、レジャー共に利用可能な個体数の維持管理。我々アングラーにも非力ながら出来る事はありますし、将来不本意ながら飲まなければいけないルールも出てくるでしょう。

オールリリース期間についての補足

2017年までは11月~2月末までの産卵期をオールリリース期間とさせて頂いていましたが、2018年からは11月~4月末までをオールリリース期間とさせて頂きます。延長した3月と4月は、スズキの産卵期では無いのですが、同じくスズキ資源を利用している船橋のまき網船団の大手である大傳丸が2016年よりスズキ漁のFIP(Fisheries Improvement Program)を開始。FIPとは持続可能な漁業の認証制度である、MSC認証取得を目指すプログラムです。そのFIPの一環で、スズキ漁は産卵期やスズキの味の落ちる産卵後のスズキを狙う事を止めているとの事です。資源が減少し、漁業者がスズキを狙った漁を自粛している中で、遊漁が捕り放題というのは倫理に反すると私は思うので、漁業者がスズキを狙わない11月~4月末までをオールリリース期間とさせて頂く事にしました。尚、この時期はそもそもスズキの味の落ちる時期ですので、わざわざ食べても美味しくないスズキを持ち帰らず、いつかまた大きくなって我々遊漁者を楽しませてくれる様に願って優しく速やかにリリースしましょう。

以上、船長からのお願いです。御理解・ご協力の程、宜しくお願いします。

2021年1月補足

スズキが減った減ったと言ってますが、少しだけ明るいニュースを。

2018年末の産卵期、毎年見られていたある場所の産卵魚群が壊滅状態。別の場所の産卵魚群は過去程では無いが例年通り見られる。産卵に参加しているオスのサイズが過去と比べると驚く程小さい。恐らく数が減り過ぎて、何か所にも分散して産卵していたのが、分散する程居なくなったので、産卵を行わない海域が出て来たと言う事。そしてオスの小型化については、数が減ったので種の本能で早熟になり、早くから産卵して数を増やそうとしていると言う事。そう言えば、あの場所も見なくなったと思う場所が何か所か。過去にここまで産卵魚群の群れの数が少なかったのは初めて。危機感と焦りしか感じなかった2018年末の産卵期。

翌2019年末の産卵期。昨年は見られなかった場所に産卵魚群が戻って来た。まだ数は少ないが、もしかしたら良い兆しなのか、それともたまたま回って来ただけなのか・・・。オスのサイズは小さい。不安はあるが、もしかしたら少し回復したのかも?気のせいじゃなければ良いのだが・・・と思った2019年末の産卵期。

そして2020年末の産卵期。昨年感じた少し回復したかも?と思ってた事が、確信に。2018年が底だったと確信。まだまだ10年前とは比べ物にならない位に魚は少ないが、来るべき場所に魚が来ている。魚の数も2019年末よりも多い。他の産卵海域にもしっかり来てる。昨年感じた回復の兆しがほぼ確信に変わった2020年末の産卵期。スズキの減少に歯止めがかかった。でも、オスのサイズは更に小さくなっている気がする。

年明け早々に、船橋のスズキ旋網船団大傳丸を率いる海光物産社長の大野氏に連絡し、ここ数年のスズキの動向を報告。すると、大野氏から驚きの報告が。海光物産ではスズキの旋網漁を持続可能なモノにするために、FIP(Fisheries Improvement Program)を導入。将来的に水産エコラベルのMSCを取得するために、現在国産の水産エコラベルのMELと共にスズキの資源量を調査しているとの事。そして、そのデータが2018年が底で、2019年、2020年と回復の兆しを見せ、私の日々魚探を見ながら感じている肌感覚をピッタリ一致しているとの事。オスの小型化についても、データがその様に示しているとの事で、私の現場感覚を流石と賞賛されましたが、私は逆に漁獲データから私の現場感覚と違わない推定資源量が出ている事に驚きました。科学って凄い。資源管理先進国アメリカのワシントン大学の研究者が参加しているとの事でした。

当船では現在、釣り上げたスズキは全てリリースを御願いしています。お子様連れのお客様が、子供が初めて釣り上げたシーバスを持ち帰りたいと言った時にも、断腸の想いで断りました。自分でもそれが正しい判断なのか判りかねる瞬間でした。他にも知人や自分の子供含め、初心者の最初の一匹を持ち帰りたいと言われた際にも全て断っていますので、どこかで一線を引かなければならないならば、全てのお客様に公平にと言う事で、理由問わず全てリリースして貰っています。

私が遊漁の先進国アメリカで学んで来た事は、バッグリミット、サイズリミット等はビシっと一線を引くと言う事。どうせリリースしても死んでしまう状態の魚であっても、持ち帰りを許さない事が、抜け道を無くし、公平なルールに繋がると言う事です。その結果として保たれている素晴らしい釣り場を体感してきました。日本も、東京湾も、海のポテンシャルとしては引けを取らないどころか、凌駕するであろうポテンシャルを秘めています。昔は良かった・・・と言う、先輩釣り師の思い出話程無責任なモノはありません。その先輩釣り師達が無責任に釣り散らかし続けた結果が今の海です。良い釣りをするには、離島や海外、秘境へ・・・。そんな時代は終わりにしたいと考えています。アメリカ東海岸のストライプドバスの回復劇の様に、子供や孫の世代には、昔は釣れなかった時期があったんだよ・・・と言う昔話をしたいと思ってます。

話は逸れましたが、2018年でスズキの減少は歯止めがかかったと思います。これも、スズキの資源回復を願う多くの方々の努力によって、ようやく歯止めがかかったと言う状態です。10年前と比べると、まだまだ低水準なのは間違いありません。そして、10年前よりも、釣り方も進化し、より効率良く大型のシーバスを狙える様になってます。つまり、漁獲圧は高まっていると言う事。我々遊漁者に出来る事は、釣ったスズキを出来るだけダメージ少なく、速やかにリリースし続ける事です。

秋の丸々とした抱卵スズキを見て、美味しそう・・・と言う方も多いですが、私は「シーバスは食べ物ではありません!」と返しています。半分冗談ですが、半分本気です。抱卵しているスズキは夏に蓄えていた身の脂(栄養分)を卵に変えて丸々としています。身は痩せて美味しくない時期です。それでも調理の方法によっては美味しく食べれる事は否定しませんが、我々遊漁者のかけがえの無い遊び相手が有限である事は間違えの無い事実です。皆様がシーバスと遊びにくるために使っている釣り具代や交通費、チャーター料金等のほんの一部をまわせば、スズキよりも美味しい魚が沢山買えると思います。遊びで釣り上げた魚は、また遊んで貰える様に速やかにリリースしましょう。

もう一度言います。「シーバスは食べ物ではありません!」

尚、あと何年先か判りませんが、東京湾のスズキの資源量がMSY(Maximum Sustainable Yeild) 水準となり、私の現場感覚でもその様に感じた時に、時期やサイズ、数を絞った上でキープ可とするかも知れませんが、まだまだ先の話です。

2014-12-02  »  fishtokyo

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